よくある相続対策の失敗例
1 相続対策は正しく行わなければ逆効果になります
相続対策は、遺された相続人のためにも必要なことですが、正しく行わなければ、逆に相続人を長い間苦しめることにもなります。
民法等の法律や、税法の正確な理解なく、よかれと思って行った相続対策が逆効果になる例をみることで、正しい相続対策の必要性を実感していただければと思います。
後ほどご案内するように、相続対策についてお悩みの際は、まず専門家にご相談ください。
2 失敗例① 内容どおりに執行できない遺言書
相続人となる方々が、将来相続において揉めたときのために、特定の方が被相続人の預貯金について多めに相続するような内容の遺言書を作成する場合は注意が必要です。
金融機関が、遺言の内容通りの払戻に応じても金融機関自身が相続の紛争に巻き込まれないことが確認できなければ、遺言書のみでは払戻に応じてくれないというケースは少なくありません。
結果、遺言書の内容どおりに預貯金を引き出すために、結局相続人全員の署名捺印を要求されてしまうことがあります。
この場合、遺言書によって自分の取り分を少なくされている相続人が、遺言書の内容に不服があるため、署名捺印に応じない、といったこともよくあります。
3 失敗例② 節税目的のアパート建築
「借金をして土地上に賃貸アパートを建てれば、土地は貸家建付地となり、更地の場合よりも評価が低くなり、更に賃料収入も入る」などと銀行に勧められて、土地上に相続対策としてアパートを建てる、ということは相続対策としてよくあります。
しかし、仮にアパートを建築しても、空室が多ければ賃料は満足に入りませんし、修繕や固定資産税の支払など、管理のコストもかかります。
また、賃料が入ってきたら入ってきたで、所得税を納付する必要がありますので、例えば賃料収入でローン返済を考えている場合には注意が必要です。
このように、被相続人が思っていたより賃料収入が少ないような場合に、仮に少数でも入居者が居る場合は、退去をお願いするのも難しく、相続人が長く苦しめられることになります。
4 失敗例③ 二次相続まで含めるとトータルで課税額が多くなる
相続税の申告・納付において、一次相続で配偶者の税額軽減制度をフルに活用して、一次相続の被相続人の配偶者が多くの遺産を取得した場合、二次相続の相続人が子一人であると、結局トータルでの納税額が高額になってしまった、という失敗例もよくみられます。
5 事前に相続に詳しい専門家に相談
相続対策における失敗例はまだまだありますが、こういった失敗例は、弁護士・税理士といった専門家に相談せず、なんとなく得をしそうだな、と考えて対策を行ったことによるものがほとんどです。
そのため、最初に申し上げたとおり、専門家に事前にご相談されることを強くおすすめします。