同居の家族に遺産の使い込みをさせない相続対策
1 遺産の使い込みについて
本人が高齢になった場合、その財産管理を家族に任せることはよく行われています。
ですが、たとえば、自分は東京で暮らしているため、親の身の回まわりのことや財産管理は地方の実家に住む家族に任せているものの、その家族が親の財産を勝手に使い込むのでないかと心配な方もいらっしゃると思います。
仮に、家族が勝手に親の財産を使い込んでしまった場合であっても、それを相続の際に取り戻す法的な方法がないわけではありません。
しかし、家族が使い込んだという証拠はなかなか残りづらいですし、法的な手続きをするには費用がかかるなどの問題があります。
2 家族に使い込みをさせないための対策について
家族に使い込みをさせず、後日の争いを防ぐ方法としては、以下のようなものがあります。
本人にすでに法律行為や財産管理をする能力がない場合には、親族等が家庭裁判所に本人の成年後見開始を申し立てたうえで、家族に代わって成年後見人に本人の財産の管理をしてもらう方法があります。
この方法は、本人の判断能力がすでに低下している場合にとるものですが、できれば本人に十分な判断能力があるうちに、信頼できる専門家と財産管理を委託する契約を結んでおくことが望ましいでしょう。
このような契約は、弁護士等に委託する場合にはホームロイヤー契約などと呼ばれ、東京などの都市部でも利用が進んできています。
また、財産管理について委託する契約と併せ、本人の判断能力が低下した場合に備えて、任意後見契約も結んでおかれることをおすすめします。
任意後見契約とは、本人の判断能力に問題がない段階で、判断能力が低下してしまった場合に備えて、受任者に本人の財産管理等に関する事務を委託し、その代理権を与える内容の委任契約のことをいいます。
そのほかの方法として、信頼できる専門家などの第三者を受託者として、本人の財産を信託する等の方法があります。
3 同居の家族に遺産の使い込みをさせない相続対策に関する相談
同居の家族に遺産の使い込みをさせない方法としては、上記のような方法がありますが、それぞれのご家庭の状況や費用等を考慮して、もっとも良い方法を選んでいただきたいと思います。
仮に、同居の親族が使い込みをしていなかったとしても、使い込みをしていなかったことを証明することも難しいものです。
そのため、後日の相続での争いを避けるためにも、専門家のアドバイスを受けおかれることをおすすめします。
家族の使い込みへの対策など、相続対策に関してお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
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